一人と一匹

 木陰の向こうははしゃぐ太陽が我が物顔で燦々と光を放っている。

 ここのところ雨が続いて蒸し暑い。
 もうすぐ雨の季節なんだと、レイナは寄りかかっている木の匂いにそれ感じた。
 サユミも胸元の小さなシルバーのロザリオをいじりながら、のんびりと体を休めている。
 軽めのランニングから柔軟体操、筋トレをして持久走。締めのストレッチ。
 夏は自然とココロが浮かれるけど、この暑さだけはいただけない。
 Tシャツは汗にじんわりと濡れていて、はたはたと襟元を掴んで上下させて中に風を送りながら、
「今年も暑いんだろーなぁ」
 レイナはふぃーっと息を吐いた。
 しかしサユミは聞いてないようで返事がない。
「サユ?」
「ん?」
「なに見てんの?」
 じっと見つめているサユミの視線の先をたどっていくと、ぐてっと日差しを浴びているジープ。
 サユミはくいっとレイナのシャツを引っ張った。
「あそこ。ジープの下」
「下?」
 目を凝らすと、影の中で何かがきらっと光った。
「…ネコ?」
「うん。子ネコ」
 ジープの下でうずくまってる黒と茶色のぶちの入った子ネコがじーっと二人を見据えている。
 鋭い目つきにコドモながらに野生の強さ。
「なんかさぁ。誰かさんみたい」
「はぁ? 誰? それ。みきねぇ?」
「ううん。違う。こっち来ないかなぁ」
 サユミがそっと身を乗り出すように手を差し出す。
「おいで?」

「…」

 レイナは「ふむ」と首をひねると、
「にゃーん。おいで」
 と手を差し伸べてみた。

「…にゃ」
 むくっと起き上がって、子ネコがジープの下から出てくる。
 サユミがおやっと少しだけ目を細めた。
「なんか…ふらふらしてる」
「うん」
 初夏のくせにすでに炎天下の日差しの下に出てみれば、頼りなげにひょろっとした体。ぼんやりと茶や灰色に薄汚れた毛並み。

 レイナとサユミは立ち上がると、そーっと子ネコに近づいた。
 びくっと立ち止まって、大きな目でじいっとレイナとサユミを睨みつける。まったくもって子ネコらしくないかわいげのなさ。それも生き残りの厳しい野生ならではだから仕方がない。
「レイナ。もう一回」
「あ、うん」
 サユミにしゃがむように促されると、
「にゃあ。おいで」
 と手を出してみた。

「…」
 じいっとレイナを見つめる子ネコ。
「…」
 じいっと子ネコを見つめるレイナ。
「…」
 そんな一人と一匹をにこにこと眺めるサユミ。

 ふわりと風が舞い踊り、さらさらと木の葉が揺れた。

「にゃあ」
 子ネコはタタタッと駆け寄ると、ぽんとレイナのカラダに飛びついて、
「わっ!」
 慌てて抱きかかえるレイナ。
「ふふふっ。やっぱりね」
 子ネコの体を撫でるサユミの楽しそうな顔にレイナがむっと顔をしかめた。
「なに? どーゆうこと?」
「うん。だって、レイナに似てるなぁって思ってたから」
「はぁ」
「にゃぁ」
 そーかなー。とレイナが子ネコの顔を覗き込む。サユミに顎をくすぐってもらっている子ネコは気持ちよさそうに目を細めている。
「私も抱いていい?」
「ん」
 そっとレイナから受け取って包むように抱くと、もう警戒心はないのかサユミにも顔を摺り寄せる。
「思ったよりなつっこいね。この子」
「うん」
「だけど、すっごい軽いよ」
 ほとんど骨と皮。
「ね。レイナ」
「なん?」
「にゃ?」
「イーダさん。今お昼作ってるよね。なんかもらえるか聞いてみよう?」
「うん。そーだね」
「ね。レーナ」
 にっこりと腕の中の子ネコに微笑みかけると、
「にゃあ」
 元気のいい返事。
 はっと唖然とするレイナ。
「ちょっと…サユ?」
「だってさ、この子レイナのこと呼ぶたびに一緒に返事するんだもん」
 ねー。ってサユミが子ネコの顎の下をくすぐる。
「だからって…」
「ほら。行こう」
 とっとと歩き出すサユミ。
 レイナは納得行かない顔をしたままおとなしくついていった。

 今日も雲一つない青空。
 少し風が出てきたせいかさわやかに感じる。

「あ! イシカーさんとみきねぇだ」
 レイナが手を振ると、兵舎に入ろうとしていたリカとミキは足を止めた。
 駆け寄ると、リカとミキの目はすぐに腕の中でごろごろとのどを鳴らす小さな来訪者に向けられた。
「わー! 子ネコだぁ!」
「かーわいいー!」
 リカはうにーっと目を細める子ネコの耳の後ろをくすぐりながら、顔を覗き込んだ。
「どうしたの? この子」
「ジープの下にいたんです。それで、もうすぐお昼だから、イーダさんになんか食べるもの分けてもらえないかなぁと思って」
 サユミがそう言うと、ミキはぽすっと包むように手を乗っけて子ネコの頭をうりうりと撫でた。
「そっかぁ。なんか食べさせてもらえるといいねぇ」
「この子、ずいぶんとやせちゃってるしねぇ」
 と、のどをくすぐるリカの指に気持ちよさそうな子ネコ。
 ミキはじーっと顔を覗き込むと、トンとリカのひじを突いた。
「なぁに?」
「ねぇ…リカちゃん」
 ミキが子ネコからレイナに顔を向けると、リカも子ネコからレイナに視線を向ける。
「ミキちゃんも思った?」
「うん」
 子ネコはリカとミキを不思議そうに見上げて笑っている。
 レイナはなんとなーくイヤな予感がした。
 サユミは抱きなおすと、にこっと笑った。
「レイナ」
「ん?」
「にゃ?」
 一人と一匹が同時にサユミを見る。
 リカとミキは顔を見合わせた。

「食堂を通るより、勝手口に行ったほうがいいかも」
 そういうリカの提案で4人と一匹は兵舎の表玄関を通り過ぎて勝手口へと回る。
「なんかさぁ。似てるなぁって思ったんだよねぇ」
「目がさ、すっごい良く似てるんだよね。でもさぁ」
 クスクスと後ろでリカとミキが笑っている。
 フクザツな顔をしたままのレイナと、ニコニコしてるサユミ。

 勝手口のドアを開けると、エプロン姿のカオリがちょうど炒め物を終えたところだった。
 リカが中に入っていく。
「カオたん。今いい?」
「うん。なに?」
「お願いがあるんだけど…」
 と、リカはカオリの手を取ると、勝手口の外で待つレイナとサユミとミキのところへと引っ張った。
 カオリがサユミの腕の中の子ネコに気がつく。
 少し段差があるので、しゃがむとちょうどカオリの真正面。
「あらー。かわいいねぇ。れいにゃ」
「んにゃ」
「んなぁ?」
 レイナが目を丸くして固まる。
 その横でミキが腹を抱えて笑い出した。
「ミキちゃん。笑いすぎ」
 とか言いながら、リカも笑いをこらえて炊事場から出ると、爆笑で崩れそうなミキの体に寄り添った。
 憮然とするレイナとごろごろとカオリに顎を撫でてもらって上機嫌のれいにゃ。
「なんですか? れいにゃって」
「この子の名前」
 にっこりと微笑むカオリ。
「でもメスかどうかわかんないじゃないですかぁ」
 レイナが納得いかずに食い下がると、サユミはれいにゃのカラダを包むように両手で支えて持ち上げた。
「メスだよ」
「ほらね」
 ちょっと待っててね。とれいにゃの頭を撫でると、くしゃしくしゃとレイナの頭を撫でて、カオリが流し台に戻っていく。
「なんかもらえるみたいだね」
 サユミが抱っこしなおして顔を覗く込むと、「にゃぁ」とれいにゃが応えた。
 ミキはがっとレイナの肩を抱き寄せた。
「そんなに拗ねないの。かわいいじゃん」
「なんか、妹みたいだよ」
 リカの言葉にレイナはれいにゃの顔を覗き込んだ。
「にゃ?」
「…」

 かわいくないといったらウソになる。
 ほんとはすっごくかわいい。
 だけど、そんなに似てるかなぁ。

「…」
 のどをくすぐったら、うがうがとサユミの腕の中でもがきだすから、
「はい。レイナ」
 サユミはレイナの胸にそっとれいにゃを押し付けた。
 仕方なく抱っこすると、レイナを見てうにゃぁと目を細めるれいにゃ。
 微笑んでるように見えるけど、その細い小さな体は震えていた。
「…」
「レイナ?」
「…あ、うん」
 どうやら“れいにゃ”が気に入ったのか、返事はしなかったけどくりっとした目はじっとサユミを見つめていた。

 カオリは流し台から戻ってくると、小さなアルミの皿を勝手口の脇に置いた。中には水でふやかして極めて薄くしょうゆとだしで味をつけたご飯。
「リカ。あと水持ってきて」
「うん」
 リカが炊事場に入ると、なんとなくミキもあとをついていく。
「なんかみきねぇもネコみたいだね」
「うん。かわいいかも」
 サユミとレイナは顔を見合ってクスクスと笑った。
 そんな二人の足元でがつがつと一心不乱に食べるれいにゃ。
 リカがそっとごはんの器のとなりに水の入った小さなアルミのボールを置く。
「おなかすいてたんだねぇ」
「うん。必死だよね」
 カオリの横にかがんで目を細めて見守るリカにおぶさるように抱きつくミキ。
 カオリはレイナとサユミの目をまっすぐに見て、言った。
「まだ子ネコだからね。ミルクもあげたいとこなんだけど、おなか壊しちゃうと思うんだよねぇ。だから、これで我慢ね」
「はい」
「はい」
「配給で頼むのも厳しいし、あとはみんなのお給料から出し合って、ちゃんとしたものを買うっていうぐらいしかないんだけどね」
 カオリはそういうと、
「でも、それは万が一病気や怪我をしちゃったときのための手段にしておきたいんだよね」
 このご時世だから、ただでさえ安くない動物医療は驚くような値段になっているだろう。
 カオリは小さく微笑んで、ため息をついた。
 そこに、
「あれー。みんな何やってんの?」
「どーしたのぉ?」
 と、声が二つ。
 その場にいる全員の視線が声の方に向いて、れいにゃだけががつがつとご飯を頬張っている。
 なくなりそうなっていたのに気づいて、カオリはまた流し台へと向かった。
 声の主、ノゾミとマコトが輪の真ん中を覗き込む。
「うっわーーーっ! 子ネコだぁ!」
「はぁーーっ! ちっこーい!」

 がつがつ。
 がつがつ。

 それでも一心不乱に食べるれいにゃ。
 小ナベを片手に戻ってきたカオリがお玉で中に足してやる。
 ノゾミはそっと丸まっている背中を撫でてみた。
「うわぁ。やせてるねぇ」
「すっごい勢いで食べてるよぉ」

 がつがつ。
 がつがつ。

 陽射しの眩しい午後。
 ちっこい一匹を目を細めて見守る7人。

 がつがつ。
 がつがつ。


「にゃあ」
 ごちそーさまとでも言ったのか、くりっとした目をきらきらさせて顔を上げた。
「うはっ! レイナだ!」
 と、ノゾミが抱き上げた。
「そっくりだぁ」
 マコトがのどをくすぐる。
 苦笑いするレイナ。
 サユミはそんなレイナにくすっと笑みを零した。
「この子、れいにゃって言うんですよ」
「名前?」
 ノゾミが首を傾げてれいにゃを覗き込む。
 マコトもノゾミに顔をピタッとくっつけるようにして同じように覗き込んだ。
「れいにゃかぁ。人だとレイナで、ネコだとれいにゃなんだぁ」
「カオリ? つけたの」
「そうだよ。のんちゃん、よくわかったね」
 へへと笑うノゾミの頭をカオリがよしよしと撫でる。
 リカはふと思った。
「カオたん。この子、どうするの?」
「あっ…そっか」
 ミキも気づいたらしい。

 通常特殊部隊でもない限り、動物の飼育はありえない。
 まして、配給自体が乏しくなっている現状では厳しいものがある。
 たとえここがまだ優遇されている最前線に一番近いベースキャンプだとしても…。

 カオリは『うーん』ととりあえず空を見上げた。
 不安げなレイナとサユミ。
 すがるような目のノゾミ。訴えるような目のマコト。
 リカとミキはじっと様子を伺っている。

 カオリはこほんと咳払いした。
「れいにゃを、乙女隊兵舎厨房防衛隊長に任命します」

 は?

 全員の頭に浮かぶはてな。
 きょとんとしているれいにゃ。
 カオリはれいにゃに敬礼すると、
「主な任務は炊事場や勝手口周辺のねずみからの防御、撃退。以上」
 凛と張ったカオリの声に、れいにゃがうがっと右の前足を伸ばした。手をくにって招いているけど、たぶん敬礼。そう思いたい。
「全員、返事は!?」
「はいっ!」
「にゃっ!」
 ありえないくらいきれいに揃った6人と一匹の声。そして整った敬礼。
 満足そうにカオリはうなずいた。

 基本的にれいにゃは兵舎に入れない。
 特に2階の各自の部屋には入れないこと。
 もし、入っても食堂まで。食事中は厳禁。
 それが約束。

「じゃあ、お昼にしようか。みんな、ちゃんと手、洗ってね」

 れいにゃはするりとノゾミの腕から抜け出すと、ふらりと木陰に向かっていった。
 この日から、朝、昼、晩と、れいにゃの戦利品に毎度のごとく上がるカオリの悲鳴が聞こえてくることとなる。


■                          ■  


 玄関のドアが開いた。
「ただいまー」
 リカの声。
 ソファでなんとなくテレビを見ていたミキは「んー」と声の方に顔を向けた。
 ぺたんぺたんと足音。
「おかえり」
「うん」
 リビングに入ると、リカはデイパックをドアのそばにおいて帽子を上に乗っけた。
「ごはんは?」
「まだ。ミキも帰ってきたばっかだよ」
「そっか」
 ミキの隣に座ると、
「おつかれさま。ミキちゃん」
「うん。リカちゃんも、一日おつかれさま」
 そして、軽いキスは気がつけば毎日の日課。
 そのままリカがミキにもたれかかろうとしたら手で制された。
「ちょっと待ってて」
「ん?」
「手紙が来てたんだよ」
 テーブルに手を伸ばすと、ほらっとかわいいキャラクターの便箋を見せる。
「まだ見てないの?」
「うん。一緒に見ようと思って。リカちゃん、今日は早いって言ってたじゃん。だから」
「そっか。ありがと」
 リカを抱き寄せて、手紙の封を開ける。
「誰から?」
「レイナだよ」
  「レイナかぁ。今、まだ軍の学校だっけ?」
「うん。たしか3人ともね」
 レイナとエリはともかく、サユミが終戦後に軍に残ったことを周りは驚いたが、リカはなんとなくそんな気がしていたし、ミキも驚きはしなかった。
『あの子らしいね』
 と言うだけで。

 封筒の中からは2枚に亘る手紙と写真が3枚。


      Dear  リカちゃん & みきねぇ

       元気ですか? レイナは毎日はりきって訓練がんばってます。
       エリはあいかわらずおもしろくって、サユもあいかわらず鏡ばっか見てます。                          

                                                        』

 そんな文章で始まった手紙。
「“リカちゃん”だって」
「くすぐったいね。なんか」
 そのせいか“リカちゃん”の後ろには『从* ´ヮ`)』な感じの落書き。
 手紙には訓練の様子とかサユミとエリとの他愛ない毎日のこと。軍中央部の近くにある学校のため、ユウコが講師として派遣されており、その校内武勇伝が眩しくらいにきらきらと描かれていた。
「相変わらずだなぁ。ナカザーさん」
「ね。一番手がかかってんじゃない?」
「でも、それがいいところなんだけどね」
 同封されていた1枚目の写真には変顔のエリとレイナとサユミ。
 2枚目はユウコと一緒。
 そして、3枚目。
 リカが身を乗り出す。
「もうすっかりお母さんだね。れいにゃ」
 子ネコに囲まれてすっかり貫禄がついた黒と茶色のぶちネコ。
「基地で5匹だっけ?」
 リカはそう言うと、
「たしか…オスが1匹にメスが2匹だったよね」
「そうそう。オスがジョンソンで、メスがチャーミーとミキティ。で、その後にメスのノンとオスのロクロー」
 ふふっとリカに微笑みかけるミキ。
「でも、みんなゴローって呼んじゃって、結局ゴローになっちゃんたんだよね」
「そうそう。5番目に生まれたからね」

 最初は一匹だった厨房防衛隊も、終わってみれば隊員6匹。
 非常に統制が取れて勇敢だったため、カオリの悲鳴は日に日に高くなり、リカとミキはいつしか苦笑いしながらその戦利品の埋葬に追われていた。

 今度は3匹。やや長毛の三毛とシロ。キジトラ。
 終戦後、軍の学校に入ったので寮生活となったため、レイナの実家に引き取られたれいにゃ一家。この写真も実家から送られたものを焼き増ししたらしい。
 後ろには、
『左からエリザベスとサーユとユユ。全部メスです』
 と書き添えてあった。
 手紙には、 『もうすでにおめでたらしくって、お母さんに「ウチはネコだらけだよ」って言われました。』
 と。
 それでもレイナの家族に愛されていることは、ふっくらしたれいにゃを見れば一目瞭然。よほどの肝っ玉母さんらしく、レイナのお母さんに良くなついているらしい。やんちゃな子供を持ったせいか、どうやら気が合うようだ。
「そのうち、モーニング隊全員揃っちゃうかもね」
 ほんの少し前なのに、けれど、遠くから引っ張り出して思い出してきたかのように懐かしむ目をするリカ。
 そんなリカの肩にちょこんと頭を乗っけて写真を見るミキの瞳もまた、同じようにセピア色。

 真っ赤な夕焼けが差し込んで、リビングが橙色に染められる。

 リカは夕飯の支度に立ち上がり、ミキは送られた3枚の写真を壁のコルクボード貼った。
「今日の献立は?」
「んー。ミキちゃん、何食べたい」
「えっとねぇ、リカちゃん」
「こら」
 コツンと軽くゲンコツ。
 ミキはその手をぱっと掴むと、唇をすばやく奪い去った。
 してやったりとにかっと笑顔のミキ。やられたとむうっと眉根を寄せるリカ。
「いいじゃん。明日は二人とも休みなんだから」
「そうだけど…」
「じゃ、つづき」
 と言ったところでミキのお腹が、ふざんけんなとメシ食わせと声高く猛抗議。
 リカはくすくすと笑いながら投げキッスをプレゼントしてキッチンに入っていった。

 ゆっくりと日が暮れていく。
 キッチンから軽やかに流れてくる音。
 真っ赤に燃える夕焼け空。
 一番星がきらりと窓の向こうでささやかな光を放っていた。

 

(2004/5/22)

 

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